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gourmet
90年以上の記憶を包む、
老舗洋菓子店「自由が丘 モンブラン」
TEXT:下井美奈子 PHOTO:土岐節子
子どもの頃から、この店を継ぐと決めていた
4代目の迫田直幸さんにとって、初代は曾祖父にあたります。初代の妻である曾祖母・すずさんから直接、店の歴史を聞いて育ちました。幼い頃から木や紙など、身近な素材を使ってものを作ることが好きで、自分の手で何かを形にすることに夢中だった直幸さん。身近にはいつも洋菓子を作る職人たちの姿があり、食や菓子づくりへの関心も、ごく自然に育まれていきました。ある晩、仕事を終えて帰宅した両親に、ヨーグルトやフルーツ、ビスケットなどを皿に盛り付けてプレゼントしたことがありました。「ありがとう」と言ってもらえたとき、心が温かくなった直幸さん。自分の手で作ったものが人を喜ばせることができる。その喜びは、幼い直幸さんの心に強く残りました。そして8歳のとき、3代目の父と母の前に正座し、こう伝えました。
「このモンブランを継ぎたい」。
直幸さんが子どもの頃に好きだったのは、シュークリーム、モンブラン、エクレール、ショートケーキ、カラメルプディング。子どもの頃の直幸さんが好きだった洋菓子は、今もショーケースに並び、次の世代の子どもたちに選ばれています。世代を超えて親しまれるお菓子と共に、モンブランの歴史もまた、受け継がれています。

変わらないために、少しずつ進化する菓子

看板のモンブランは、山頂の雪を表すメレンゲがなんともキュート。¥960(税込)
「昔から変わらない味」を守ることは、何も変えないことではありません。初代の考え方を大切にしながら、素材や製法を見直し、時代に合わせておいしさを追求する。それが、4代目が目指す「モンブラン」の伝統です。看板のモンブランは、約15年前から愛媛県産の栗に限定し、現在は「中山栗」を中心に使用。北海道産の生クリームを3種類ブレンドし、甘さも時代に合わせて調整しています。栗の甘露煮が一粒 隠れているのも、うれしい仕掛けです。
口の中でふんわりほどけるようなテイストのショートケーキ。¥880(税込)
ショートケーキも、配合や製造工程を見直しました。焼き上げたスポンジを専用の冷却庫で一気に冷やして水分を閉じ込めるため、シロップを打たなくてもしっとり。口どけのよい生クリームと、厚めにカットした甘酸っぱいイチゴが重なり、シンプルだからこそ素材の味が際立ちます。

その大きさに思わず嬉しくなるシュークリーム。¥550(税込)
創業以来のシュークリームは、卵、牛乳、砂糖、小麦粉で作るカスタードは生クリームを加えず卵の風味が主役。力強く焼き上げた、塩味の効いたシュー生地との組み合わせは、どこか懐かしい王道の味わいです。
「いつの時代も、変わらず愛される洋菓子でありたい」。
その思いを胸に、受け継いだ味と想いを大切にしながら、素材や製法を見直し続ける4代目。時代に合わせて、そのおいしさを磨き続けるために。変わらないために、変えていく。その積み重ねが、90年以上続く店を支えています。

お話を聞かせてくださった4代目・迫田直幸さん。伝統のお菓子を時代に合わせてブラッシュアップしています。
INFORMATION

自由が丘 モンブラン
■住所:東京都目黒区自由が丘1-29-1 自由が丘ミューズスクエア1階
■℡:03-3723-1181
■営業時間:10:00〜19:00(LO18:30)
■定休日:なし
https://www.mont-blanc.jp/
https://www.instagram.com/mont_blanc_jiyugaoka/
取材・テキスト:下井美奈子
洋菓子から和菓子までスイーツ情報を網羅するフリーランスのスイーツ コーディネーター。お取り寄せ情報にも詳しい。 パリ「リッツ・エスコフィエ」で料理・菓子を学びディプロム取得。
http://www.instagram.com/minakoshimo
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